Labo.299

いつも「なにか」をじっけんちゅう。

名画「で」遊ぶシリーズ4/ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』


 そんなわけで、ぎうぎう期去ってまたぎうぎう期の悪寒なので、せめて2/3状態で保存しておいたこいつをリリースしてからまたカンヅメ生活入りますやだもう死んじゃう。

 今回は、フォロワーのよつにゃん(@4leafclover7)からのリクエストにお応えして、15世紀の画家サンドロ・ボッティチェリ作『ヴィーナスの誕生を。

 …で、良かったんだよね?(私信)

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 まずこの絵画のスペックから。ウフィッツィ美術館(イタリア・フィレンツェに所蔵されているルネッサンス後期(15世紀末)の作品で、ローマ神話における愛と美の女神・ヴィーナスが海より生まれる瞬間をモチーフに描かれたものだ。

 しかし、この“海から生まれ、西風に吹かれて岸につき、衣に覆われて天に上っていく”という逸話は、ギリシャ神話で同一視されるアフロディーテのものであり、ヴィーナス自体に特別なエピソードはない。
 
 大部分の絵画が、ローマ・カトリック教会宗教的主題に沿って描かれていた時期に、神話などの古典を題材として好んだボッティチェリの作品は「異教的」とされ、弾圧され、多くの神話モチーフの作品が火にくべられたそうだ。

 そんな理不尽な迫害を受けたにもかかわらず、この画が焚き火の薪になるのを逃れたのは、フィレンツェの支配者・メディチ家の庇護があったためだ。権力って大事。
 
 というわけで、さぁ、突っ込んでみまSHOW(σ`・ω・´)σ

なぜヴィーナス以外のキャストがギリシャ神話の出自なのか

 先に述べた通り、主人公のヴィーナスはローマ神話の神。にもかかわらず、脇を固めるキャストは全てギリシャ神話の神々たち。ギリシャに傾倒していたとはいえ統一しようぜ、そこは。『アフロディーテの誕生』なら全ての辻褄が合ったのに。

 ところで、“ヴィーナス”をラテン語(今でもバチカン市国では公用語として使われている)で読むと“ウェヌス”になるらしい。ヤダ何かヤラしい(゚д゚)

いきなり「大人」を見せつける西風神ゼピュロス&花女神フローラ夫妻

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 お前ら羽あるんだから自力で飛べ。たった今誕生したばかりの女神に、何てモノを見せつけてくれるのだろう。「大人の階段5段飛びくらいしてみせなさい」と言わんばかりの荒々しい性教育だ。いらねーから、そういうのまだこのコには早いから。

 先ほど、「ヴィーナス以外みんなギリシャ神やん」と述べた舌の根が乾かぬうちに修正しておくが、フローラはローマ神話の女神らしい。しかし、元々ギリシャ神話のニンフ(精霊)だったという説もある。結局、この二つの神話は、神々の構成に似通ったところが多すぎて混線してしまうのも無理はない。

 ちなみにゼピュ(って略すと何かヤラしい)は、他にも何人か妻や愛人が存在し、あげく男にまで手を出す、私的には“永遠のヤリたい盛り神”のイメージが強い。左腕一本で嫁を抱えながらも余裕綽々と飛ぶ様は、確かに8760時間いつでもオッケー、攻めも受けも応相談的なアグレッシブさを感じる。現実世界で絶対近寄りたくないタイプだ。

ヴィーナスが恥じらいのポーズを“とらざるを得なかった”理由

 ゼピュは西風(=春風)の神、フローラは花の女神。二人は生まれたての女神をホーラ(季節の女神)が待つ岸に着けようと、各々なりの祝福を注いでいる。多分(自分で書いておいて何だが、もうシモ的な見方しかできなくなってきた)

 ゼピュはヴィーナスを送り届けるため口元から風を創り、フローラは祝福の花の雨を降らせている。しかし、彼らには別の狙いがあったのだ。

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 フローラはあまり胸が豊かではないため、赤子同然のヴィーナスの胸が案外自分より大きいことに羨望の視線を送っているのかもしれない。年中性欲フルスロットルのゼピュもまた、その乳に向かって「おおきくなぁれ♡」とばかりに春風を注いでいる。

 顔が土色に変わるくらい真剣に。

 横で絡んでいる妻の存在や顔色、思惑なんて、風を操る神だけに“どこ吹く風”だ。仲睦まじく登場したものの、もしかしたら二人は仮面夫婦なのかもしれない。

 ヴィーナスが見たこともない、何か羽生やして淫らな姿で近づいてきてくる輩にこれほど乳をガン見されたのであっては、思わず胸を隠したくなるのも納得できる。

ホーラが差し出す絹の外套には誰にも言えない秘密が隠されている

ホーラisギリシャ神話の「時の女神」。メガテンシリーズに登場するモイライ三姉妹か『ああっ女神さまっ』のウルド・ベルダンディ・スクルド的な存在だ。

 彼女がクロトかラケシスかアトロポス、はたまた、ウルド・ベルダンディ・スクルドのいずれかは不明だが(というか、北欧神話なので関係ないんだっけ…(゚σ ゚)ホジホジ… ピンッ!( ・_<)σ 〜・)、ともかく彼女は生まれたての女神に花柄をあしらった外套を、いきなり全裸で困っている彼女にかけようとしている。

 ところが、外套を差し出す手がちょっと問題。左手には何ら違和感を感じないのだが、右手のこのつまみ方は何なのだろう。

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 …鳥のウンコでも降ってきたのかな。それで、(´-`).。oO(あっ、大事な外套に汚れが…でも替えもないし、模様だと思えば違和感ないし、私が着るわけでもないし…いっか)、みたいな。でも手先は正直。傍にいるのがこんなのばっかりで女神、不憫。

ヴィーナスのモデルとなった女性の名前は『シモネ(ッ)タ』

 この画が制作された背景には諸説あるが、モデルとなった女性に関してはシモネッタ・ヴェスプッチという名の女性の説が有名だ。15歳で人妻となり、20歳でジュリアーノ・デ・メディチボッティチェリパトロンの弟)の愛人に。ただ、当時の“愛人”とは今で言う生々しい関係ではなく“家紋”や“象徴”的な存在に近かったと思われる。

 この画が完成したのは、彼女が22歳で夭折した9年後。モデルとして面識もあり、カンバスの前に立ったこともあっただろうが、最終的にこんなあられもない姿にひん剥かれてしまった画を、彼女が目にすることがなかったのは幸いだったのかもしれない。

 誰もが描きたがってフィレンツェに集ったという、花の顔ばせ・シモネッタのボッティチェリVer.がこれだ。※他にも何枚か描いているけれども、とりあえずこれだ

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 見事に目が死んでいる。そして、この首の長さはちょっと人外。モディリアニの描く妻ジャンヌや女性も大概首が長いが、前衛芸術の手法として認知されていた19世紀とは時代が違う。おまけに「Superなで肩貴族」。和服が似合いそうだ。

 それにしても、向かって右半分の髪の毛のフリーダムさといったら…何か効果音をつけたくなってしまう。そうだ、こんなのはいかがだろう。

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 うん、わりとイケてると思うの、虚ろな目もそれっぽい(自己完結)

 続いて下半身いくよ!(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

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 シモ…じゃねーや、ヴィーナス、とりあえず天に昇る前にライ○ップな。姿は大人でも肝心のところがたるんたるんの幼児体型とか、私が神様だったら許しません。昇天は結果にコミットしてから!

 でもこの頃から近代まで、裸婦像ってこの丸みを帯びたふくよかさが美しいとされてたのよね。私には平安美人並みに理解できないんだけど、皆さんはどうッスか。

 あと髪の毛の下、どう見てもツルツル。このままではどうしても具が見えてしまうため、髪の毛で隠したのではないかと思われる。それとも大人の女性のもっさりした下半身への憧れか…うん、(ヾノ・∀・`)ナイナイ

まとめ:ヴィーナスの誕生is春画(春を描いたテーマなだけに)

 いやもう、だいたい乗っているホタテ貝からして女性のマ…(ピー!)の隠喩だからして、けしからんったらありゃしない、いいぞもっとやれ。

 生まれた時はみな裸なので、それは理解できる。が、なんでいきなり完成形で現れるのか、それがわからない。裸描きたいだけのようにも思える。

 ゼピュとフローラの存在だけで、なんかもう全体的にエロ画のように思えてきた。全部ゼピュのいかがわしいオーラのせいだ、そういうことにしておこう、うん。

 あ、最後にひとつ、突っ込むの忘れてた。

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 海にこんなもん生えない。

 よつにゃん、リクエストありがとーございました。さて、次はどんな名画を汚してやろうかクックック…(←人としてどうかと思…わん! 往けよ我が道!(゚д゚))

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