Labo.299

いつも「なにか」をじっけんちゅう。

ライフワークは「食う(呑む)・寝る・ググる」

 自己紹介でも触れたけれど、私の趣味はオンラインクイズ。トーナメント形式のやつで、ゲーセン通いはほぼコレ目当てだ。筐体に100円玉をひたすら突っ込むだけの簡単なお仕事を続けて、丸10年が過ぎた。ちなみに、貢いだ100円玉の数を累計すると、ベンツAクラス・スポーツタイプの新車とやらが買えるらしい。※350万円~

それは運命の恋(ただし画面越し)

 10年前。知人が飲み会の待ち合わせに指定してきたのがゲーセンだった。多少遅れても時間が潰せるだろう、という配慮は有難かった。が、たまたま目に入った筐体がまったくもってアカンかった。

 クイズという未経験のジャンル。「ハリーポッター」シリーズ的な「魔法学校」という世界観。オンライン対戦という、弱肉強食なバトル要素に興味が湧いた。
デモ画面で私好みの銀髪美少年と目が合ったのが決定打。コイン、いっこ、いれる。

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↑旦那より付き合いが長い、若いツバメは14歳。10年経っても在学中って…何留してるの?

 「チャリン」。
 それが、私の人生設計(?)をゆっくりと、そして大きく軋ませる合図の音となった。

はいじんのつくりかた

 最初の頃はどのジャンル(現在は8ジャンル)も易問ばかりで、サクサク解けてスイスイ決勝まで上がることができ、ガンガン優勝もできた。そしてある程度経験値が貯まると階級が昇格するというシステム。勝つとやはりモチベが上がる、その結果。

 お試しのつもりがガン嵌まり。1時間遅れてきた知人をさらに2時間待たせた。

 その後も仕事帰りにちまちまと通い続け、ある一定のクラスまで何とか昇格できた。が、飛び込んだ先は百戦錬磨の猛者共が知識で殴り合うベテラン勢の巣窟。問題が一気にカルト化するわ、他プレイヤーの回答速度や正答率が尋常じゃないわ、全問正解してもタイプスピードで削られて落ちるわ、ってどういうことなの。

 初戦ですら振り落とされるようになり、昇格と降格を繰り返すスパイラルに陥って、私のおクイズ遊びは完全に詰んだ。さて、ここが分岐点である。

 もうお腹いっぱい、心が折れた、飽きた、などでゲームを離れるタイプと、負けたくない、勝ち残りたい、踏まれて楽しい、などでより一層前にのめってしまうタイプ。私は後者のタイプだったらしい。べっ、別にMじゃないんだからねっ!ξ゚⊿゚)ξドMです。

 次週からは新シリーズの稼働が決まっていた。"あちら側"に入るためには、もっと多くの問題を見て、覚えなければならない。広辞苑と六法全書と家庭の医学を買った。それらをノートにまとめたり単語カードを作って仕事中にめくって励んだ。仕事しろよ。

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↑この態勢が整ったら、最短4時間は筐体と一体化 ※混雑時の譲り合いはマナーです守りましょう
 
 会社帰りは最低10クレ(=プレイ)、休日は開凸して「蛍の光」が流れるまで。飯も食わずに、お茶と煙草だけでガンガン回し、いつしか店員さんの挨拶も「いらっしゃいませ」から「お疲れ様です」に変わった。CNで呼び合う、ゲーム仲間が増えた。

 有給休暇も全てゲーセン通いにブッ込み、家に帰れば携帯で撮った未見問題をグーグル先生にお伺いした。問題数が多すぎて追いつかないので、仕事の休憩時間もひたすらググった。転職する時には職種よりも“自宅からの通勤ルート上で、その筺体を設置しているゲーセンがあるか否か”が最優先事項だった。

 バカなの? 死ぬの? とは、こういう時に使う言葉だと思う。

 ちなみに、ここまで浸かったユーザーは俗に“廃人”と呼ばれ、傍から見ると「ちょっと変な人」の箱に入れられる。今それらがどうなっているかというと、カップ麺のフタ…かな…。

キ「ユ」ーピー・シ「ヤ」チハタ・ビッ「ク」カメラ

 たかがゲームに必死すぎて、自分でも笑える。しかし、トコトン無知で一般常識にも疎かった(今もだけどな)私に、このゲームは様々なことを教えてくれた。

 今や20万問を超える問題の99.8%くらいは、「アイスランドの首都は?」(答:レイキャビクとか「ダビデ像の目はハート型をしている」など、一生知らなくても生きていけるような豆知識ばかりだ。

 それでもこのゲームに出会わなかったら、私は今でも「月極」を「げっきょく」と読み「ブロッコリー」を「ブッコロリー」と言い続けていただろう(←誰か教えたれよ…)
紛らわしいパッケージに長いこと騙され、四十路近くになってようやく「キューピー」が「キューピー」ではなく「キユーピー」だと知った時の衝撃は忘れられない。


キューピー3分クッキング ロボットダンス - YouTube
↑発音は「キューピー」、タイトルもロゴも「キューピー」、なのに名称は「キユーピー」という理不尽

 芽生えた知識欲と、そこそこに負けず嫌い(ガチではない)な気質の握手。そこから今の「何の役にも立たないどうでもいいことばかり知っている私」が生まれたのだ。

醍醐味は「ミソのシワから記憶を掘っくり返す快感」

 現シリーズは12作目になる これが始まって以来の超クソゲー仕様でマジ泣きたい

 今ではプレイ数こそガクリと減ったが、2作目末期から始めた私は最近始めたプレイヤーよりも多く問題を見ているし、答えを覚えている。旧問がバンバン使い回されているため、古参であればあるほど有利にこのゲームはできている。
 
 なのに、"あちら側"に行けたかといえば、片足がちょっと浸かっている程度である。10年以上もやっていてほとんど進歩なしってある意味スゴイ。

 答えは簡単、覚えた端からドンドン忘れていくからだ。特に苦手ジャンル(関心のないジャンルとも言える)は、通常の3倍の早さで脳のシワから消えていく。付け焼刃の丸暗記を寝かせたまま放置してたら、そりゃ永眠もするだろう。

 このゲームは所謂「暗記ゲー」なので、可能な限り多くの問題と答えをセットで脳のシワに練り込んだ者勝ちだ。しかし、シリーズを重ねるごとに増える問題や形式、細分化するジャンルに、退化の坂道を転がり続ける私の脳はほとんど対応できていない。

 歳のせいにしてしまいたいのは山々だが、同年代の全国ランカーもいるのだから単に容量とか天井の高低差とかの問題だと思う。というか、言っていい? 飽きた。
 
 正直、かなり飽きている。それでもコインを筐体に突っ込む作業をやめられないのは「今までやってきたことが無駄になるのがイヤ」だからだ。掛けてきた時間、お金、脳内ワーク、それを全て捨てるなんてMOTTAINAIという謎の貧乏性のせいだ。

 そんな惰性半分でやってて楽しいわけがない、と思いきや、案外そうでもない。もう何年も見ていないような旧問を引いた時に「あーなんだっけコレ、前はすぐ出てきたのに、えーと…とりあえずエイ(ぽち)」で正解だった時はテンションが上がる。

 その体験が再び新鮮な記憶として刻まれる。脳ミソのシワの奥深くから今にも消えそうになっていた記憶を掘り返すこと。コレ系ゲームの醍醐味はやはりここにある。

↑自宅学習ツール。新問には対応してないけれど、旧問の予習復習に最適 でもやってない

 最近は答えを調べる過程において、答えそのものよりもそれを取り巻く様々な豆情報(人物なら逸話、戦争なら背景、地名ならその由来など)を見ている時間の方が多い。ただの作業に過ぎなかった問題整理が楽しくなってきた。おかげで調べる量が全く捗らない。

 もう何か、クイズ始めてから今日までが一番勉強している。
リアル学生時にしていれば。それは考えてはいけない。ダメ、絶対。